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閉目開目

このコーナーでは、「産業社会でいま何が、なぜ注目されているか・・・」について、ご紹介して参ります

投資ファンドのニューホライズンキャピタル株式会社の会長兼社長の安東泰志氏が、「知られざるハゲタカファンドの事業再生」と、題した新書を書いた。読者からの評価も高く、好調な売れ行きのようだ。
この本の魅力的なところは、まさに、今行われている実践的な題材を基にして描かれた物であることと、文化と伝統に支えられて育まれてきた優秀な技術を有する日本の中堅、中小企業が鵜の目鷹の目で他国から狙われまさに、危機存亡の事態と捉え国家の危機存亡の解決策を読み解いて聞かせてくれているところにある。
同書は、我々が、記憶する倒れそうな企業を食い物にするひと昔前の村上ファンドに例えられるハゲタカファンドの印象とは根本的に違って、企業と一緒になって再生し、そして持続的な成長を促す経営体質に変身させることを、主眼に置いている専門の投資ファンドがあることを、教えてくれている。
この論理を当てはめれば、日本政府は投資ファンドに企業再生ではなく、日本の再生を委託すべきではないかと言いたくなる。なぜなら、日本の経済の土台は、七、八割方が中堅、中小企業によって占められているわけですし、投資ファンドのノウハウは、他のどの金融機関やビジネスコンサルタントを擁したとしても、敵うものではない。
問題は、彼らが闘える題材を官民ファンドが、横取りするような邪魔をしないことであり、彼らへの投資を促して民間のリスクマネーを大いに活用させ、もしろ育成を図る手助けをしてあげることだ。
国家財政窮乏の折、GPIFの運用資金の活用は、まさに理にかなった国民のお金を国の成長に役立てるとともに、その収益を年金支払いの原資として得る理想的な姿が描けます。
GPIFが、動けばメガバンクは別として地方の有力地方銀行が地域の融資先企業再生のために動いて来ます。
まさに、地域活性化のための原動力のチャンスがここにあることをこの書は、教えてくれている。
ある一部の官界や有識者や言論界の中にGPIFのお金をリスクの高い投資ファンドなんかに、入れるべきではないとの見方をされる方もいるようだが、株式や債券といった伝統市場での運用をすすめるのであれば、国の成長をまず考え、そしてそれを支える日本企業の持続的成長を考え、上場企業を支える中堅中小企業を考える必要があるのではないだろうか、また、その土台を投資ファンドが作って行く、すなわちオルタナティブ投資は、市場リスクの無い安定した投資先と言えるのではないだろうか。
各界各層の政策決定者の方には、是非ともご一読願いたいものです。

ニューホライズン キャピタル